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捕鯨論説・小説・絵本のサイト/クジラを食べたかったネコ

── 日本発の捕鯨問題情報サイト ──

捕鯨カルチャーDB

日本人の手になる文化作品のうち、小説(フィクション分野)、絵本・童話、漫画、アニメ・特撮、ゲーム、映画・ドラマ、音楽等の中で、捕鯨問題もしくはクジラに関連する記述が含まれているものを収集してみたんだニャ~。(解説へ

情報求ム!!!

 筆者のほうで随時構築しているところですが、「こんな作品がある」「こういう記述を見つけた」という情報があれば、ぜひこちらまでお知らせください。作品に対する感想・評価のコメントも受け付けております。皆様からのご報告をお待ちしてますニャ~m(_ _)m

情報&コメント提供(多謝m(_ _)m)

猫玉さん、Beachmolluscさん、オルカさん、守山さん、のりぴーにょさん、モンタナさん、さかまたさん、みーさん、副長さん、くろまにさん、Aderchismさん、まんまさん、花逗牡さん、釣本さん、匿名希望さん、ちびたさん

フィクション小説 絵本・童話 コミック アニメ・特撮 ゲーム 映画・ドラマ・演劇 音楽

捕鯨の味方


※ の数はそれぞれ捕鯨ヨイショ度、クジラヨイショ度指数です(3段階)。


<フィクション小説>
勇魚
 C・W・ニコル
 文芸春秋
著名な外国人ナチュラリストの手で書かれた本作が日本の世論・マスコミに与えた影響は絶大だったが、太地の密漁や調査捕鯨の実態を目にしたニコル氏の日本の捕鯨に対するスタンスは、その後大きく転換している。
世紀末鯨睨記
 久間十義
 河出書房
白鯨のパロディというには格調の欠片も感じられない通俗的なナンセンス小説。武装した環境保護団体モドキが出てくるが、たいした取材をしたと思えない捕鯨業界側と比べても完全に空想の産物。
波に座る男たち
 梶尾真治
 講談社
(鯨肉?)に惚れたヤクザと環境保護団体、台湾マフィアの三つ巴の争い。任侠の世界なんだニャ~。真面目なのかギャグなのか、ちょっち迷うフィクション。
捕鯨ヨイショものでは〝敵〟はヘンなガイジンが相場だが、この作品では仇敵も病弱な娘を抱えた熱い男だったりする。台湾といえば、IWCの規制を逃れたアウトローの捕鯨で獲ったクジラの肉を日本に密輸していたことで有名。捕鯨反対の人でもなかなかおもしろそう。
(評:守山さん&ネコ)
鯨の哭く海
 内田康夫
 祥伝社
TVドラマにもなっているシリーズ探偵もの。物語の舞台は太地、ノルウェーからの鯨肉輸入問題を取り上げるなど、捕鯨ヨイショ一点張りではない社会派作品ではあるようだ。
鯨神
 宇能鴻一郎
 中央公論新社
官能小説家として知られる宇能初期の、若い銛打ちと巨鯨との死闘を描いた芥川賞受賞作だが、単なる「白鯨」の焼き直しにすぎないとも。実際、設定からラストシーンまで引っ張ってきたことは疑いない。長崎平戸が舞台だが、地名は和田浦に。官能小説家だけに〝共倒れの死〟にエクスタシーを感じるという評もあるが・・。
巨鯨岬
 小川竜生
 祥伝社
太地生まれの銛打ちが、モラトリアムによって天職を奪われ、酒に溺れ、妻に暴力をふるって出ていかれ、残った息子はケンカに明け暮れる不良に育ち・・そんな父と子の葛藤の物語。
本筋はさておき、とんでもないことが書かれている。モラトリアムまで仕事をしてたのに、最後の漁で追っかけたのはなんとシロナガス──。密漁船に乗ってたのかニャ~。
捕鯨小説を書きたきゃ好きに書いていいけれど、せめて最低限の基本は勉強しといてほしい・・。
鯨分限
 伊東潤
 光文社
主人公の太地覚吾は実在した太地和田組の棟梁だが、作中のキャラは非実在の熱血漢キャラ。太地町史では覚吾は気質にかなり問題のある人物として記述されている。太地には宗家と分家の確執や格差の問題が厳然として横たわっていたのが史実。
蝦夷地進出の企てに見られるように、太地の捕鯨は伝統とは裏腹の侵襲的ビジネスであり、アイヌにとっては西洋と何も変わらない。作中では資源枯渇を西洋の責任になすりつけているが、太地では背美流れの頃まで九州北部ほど不漁ではなかったとの指摘もある一方、ザトウとセミについては太地自身の乱獲があったことははっきりしている。
そういう意味ではまさに西部劇じみたフィクションであり、ノンフィクションと勘違いして歴史修正主義に陥らないよう気をつけたい。
(詳細)http://kkneko.sblo.jp/article/175388681.html
歌うクジラ
 村上龍
 講談社
タイトルにクジラが入っているが、実際にはまったく関係ない。グレゴリオ聖歌を歌うザトウクジラが不老不死遺伝子を持っていたというネタがガセであるのは、動物実験抜きでは得られない知見が出てくるだけでモロバレ。そもそも赤道上の静止衛星が対象となる軌道エレベータを瀬戸内海に建てる時点で、SFにしては設定が稚拙すぎる。
冒頭の「クジラ嫌い」の歌はまだしも、問題は序盤のディストピア描写の中に含まれるフォアグラ禁止等の反反捕鯨的揶揄。内乱鎮圧のために日本が戦術核を使うといったくだりは、まだ現実の非核政策の不実さに対する風刺が効いているが、こちらはあまりにも雑すぎ、作者に動物問題を真剣に考える気がないことをうかがわせる。仮にザトウが不老不死になったところでニンゲンの聖歌を覚える合理的理由は何もなく、誤った動物擬人化に走ったのは作者自身だといえるのだが・・
<絵本・童話>
くじらだ!
 五味太郎
 岩崎書店

幼児向けの絵本ながら、内容は反捕鯨をおちょくるだけの代物。ウンコネタなら喜ぶ子供も、こんなの読んで面白いわけがない。
海の歌がきこえてくる
 灰谷健次郎
 金の星社
小学校中学年向けの漁業問題の教材的内容。児童向けといっても十把一からげに漁業者を善玉扱いせず、負の側面についてもきちんと伝えるべきだろう。
鯨から世界が見える
 作:ウーマンズフォーラム魚
 絵:中村信
 遊玄舎
捕鯨業界ヨイショNGOの制作。試食とセットで学校に直接売り込んでいる。制作費はどっから出たんだろうね??
(詳細)
やる夫で学ぶ近代捕鯨史番外編・4
絵舟 狩野探幽の暗号
 川村たかし
 ポプラ社
太地を訪れた絵師は秘かに隠れキリシタン探しの密命を帯びていた。大人も読める人間ドラマ。新漁法開発で潤い、勢いを示そうと絵舟の依頼をした網元。一方で、鯨に頼る以外道のない貧しい村の民の苦悩や哀しみも描かれている。
とくに捕鯨擁護というわけではないが、著者はこれ以外にも「最後のクジラ舟」「クジラたちの海」「あみかけクジラ」「もりくいクジラ」といった捕鯨・クジラをモチーフにした絵本を多く著している。
まぼろしの巨鯨シマ
 作:瀬川康男
 絵:北村けんじ
 理論社
「命がけの捕鯨をとおし、固い友情で結ばれた海の男たちと巨鯨との、血みどろの闘いを軸に、愛と献身を描く長編小説」・・だそうだ。古式時代の話だが、ちょっとクサイ台詞のオンパレードだニャ~。
<コミック>
WILDLIFE
 藤崎聖人
 小学館
非科学的な〝鯨食害論〟やお手盛り世論調査の結果など、典型的な捕鯨擁護の主張が盛りだくさん。コミックスの補注でその手の陰謀論をハートマークまで付けて紹介しているあたり、作者の人格がうかがえる。いつもは情緒的な行動原理で動く主人公たちが、クジラに対してのみ殺しを正当化する差別的な視点を得々と披露する辺りも、〝中の人〟丸見えで違和感バリバリ。
大体、捕鯨擁護獣医団体にIUCN始め世界の野生動物保護の現場で働いているNGOからお呼びの声がかかるわけないわな。主人公が絶対音感以外取り得のないただのヤンキー兄ちゃんからいきなり〝超〟の付く動物フリークになったり、獣医の資格と実技スキル取得の難度が低かったり、各話のエピソードも全体的に無理のある強引な展開が特徴なのだが・・。
動物好きの子供たちをターゲットに据えた作品で、TVドラマ化もされただけに、成年向けグルメマンガなどよりむしろ悪影響は大。
美味しんぼ
 作:雁屋哲
 画:花咲アキラ
 小学館
「シロナガスを食いたい」というのが本音らしい。反捕鯨=人種差別主義というすり替えは、巧みというよりあまりに露骨/卑屈で、まともな読者なら返って胸焼けを起こしたろう。
原作者の雁屋氏はニタリクジラの種名すら知らなかったほど環境・動物音痴のうえ、暮らしやすさや子供の教育を理由に日本からオーストラリアに移住したという話。放射能鼻血描写でも物議を醸したが、暴論の程度は鯨食擁護の方が甚だしい。
ONE PIECE
 尾田栄一郎
 集英社
ルフィが「くーじーら! まーぐーろ!」と叫ぶシーンがある。ラブーンというマッコウの善玉キャラもいるんだが・・。トナカイ(非常食?)もいるし・・。
さよなら絶望先生
 久米田康治
 講談社
たった4頭のクジラを見て「過保護で増えすぎた」・・って、そんなこと言ったら、絶滅危惧種含め野生動物オール増えすぎになっちゃうよ・・。
三丁目の夕日
 西岸良平
 小学館
鯨肉も、昭和の思い出として胸にしまって懐かしむだけにしてほしいもの。
将太の寿司~全国大会編~
 寺沢大介
 講談社
少年マガジン連載のグルメ漫画の続編。
全国大会二回戦では和歌山が舞台に成りますが、その時に和歌山の特産品の鯨を扱った寿司が登場します。
「鯨を殺すのは可哀想だという主人公の仲間に対し父の跡を継いだ鯨漁師が涙ながらに反論する」という形で捕鯨問題にも触れています。
太地の女性砲手なるキャラが登場するが、当然フィクション。美味しんぼの二番煎じの謗りは否めず。主人公は漁協の冷蔵倉庫に一週間放置されていた黒い鯨肉を使うが、全国の冷蔵庫には過剰な鯨肉在庫が一時期山積みされた。
(評:釣本さん&ネコ)
グ・ラ・メ!大宰相の料理人
 作:西村ミツル
 画:大崎充
 新潮社
この漫画は捕鯨賛成派の立場からの漫画です。
シーシェパードをモデルにしたような環境保護団体を主人公の一人である料理人の少女が批判するのですが、やれミンク鯨が増えすぎてるから間引きだの、それ鯨が魚を食い尽くすだの無茶な内容でした。
「将太の寿司」も一緒だけど、グルメ漫画はみんな「美味しんぼ」の真似、ドジョウ狙いばっかりで芸がないニャ・・。
ちなみに、コミックバンチは人気のあった「ガウガウわー太」を途中で打ち切っている。
(評:匿名希望さん&ネコ)
落第忍者乱太郎
 尼子騒兵衛
 朝日新聞社
古式捕鯨を描いた子供向け作品。舞台は室町~戦国ごろなので、古式捕鯨で生活に根付いた描写があって興味深かったです。
(その時代のものとして紹介されていたので、偏った意見等は見られません)
(評:ちびたさん)
予告犯
 筒井哲也
 集英社
SSCSモドキのシーガーディアンなる団体が登場するが、船名(スポンサー名)を思いっきりパクっている。東北大震災に見舞われた日本に対するワトソンの詩を槍玉に挙げたつもりらしいが、海外の白人ならコケにできても、「天罰」発言の石原元都知事に噛み付く度胸はないようだ。この作品はラストでリンチ殺人を美化するくだりがあり、反捕鯨揶揄以外の部分できわめて問題が大きい。
(詳細)http://kkneko.sblo.jp/article/76286901.html
波打際のむろみさん
 名島啓二
 講談社
主人公は海棲哺乳類嫌い(勘違いの私怨が原因)で、ニンゲンとつるんで狩までやる。
作品を通じて作者の強いイルカ嫌悪が伝わってくる。ヒトの絵は昨今の少年漫画の中では並程度だが、イルカの絵が幼児の落書きを思わせるほどド下手。魚もド下手なため、作者の画力が低いというより、まともに観察・描写する気さえないほど、自然・生き物そのものが嫌いなのだろう。
<アニメ・特撮>
まんがなるほど物語
 TBS
反捕鯨団体がギャングとして登場するびっくり仰天の内容。国際ピーアール監修番組か!? ちなみに、ニールセンの視聴率ではこの回は6.8%で、平均よりかなり低かった模様。
がんばれ!ロボコン
 原作:石ノ森章太郎
 テレビ朝日
終盤3年目「ザブリンリン!!シシム鯨に負けるな」の回で太地町立くじら博物館が登場。別に古式捕鯨の話だけで、鯨肉の宣伝をしたわけではなかったが。ちなみにロボコン95点。
<ゲーム>
ブレスオブファイア3
 カプコン
「魚を食べると頭がよくなるのよ」とは女性キャラの台詞。気色悪いイルカモンスターも登場。脚本担当はよっぽどイルカが嫌いとみえる。しかも、釣りのミニゲーム一番の大物は〝勇魚〟。ていうか釣れるか!
サモンナイト3
 バンプレスト
鯨肉をそっくりそのままタコヤキに替えた食文化論を主人公がぶつ。婉曲的に子供に刷り込みらしい。
主人公はエリート軍人の設定なのに、離れ小島に漂着して原住民とサバイバル中帝国グルメの回想をしたり、B級グルメに感心したり。オイル食いの自動機械と飯食わない幽霊が住民の半数占めて、他にも花の妖精やらウサギ獣人も登場するのに、伝統料理と銘打って鍋を囲むシーンがあったり。ニャン魚とかワン魚とか妖精とか召喚〝獣〟も文化だとか言って平気で食いそう。ウサ耳少女はニンジンとレタスだけ食ってりゃいいよ。どうも脚本家に庶民とかけ離れた異常な食への執着がありそうだ・・。
ドラゴンシャドウスペル
 フライトプラン
ピースグリーンなるモンスター愛護団体戦闘員が登場。「この作品は実在の団体とは関係ありません」といえば済むと思っているのか?
ダライアス
 タイトー
アーケードの横スクロールST。お魚シューティングのステージボスの1体がクジラだそうな。
大航海時代Online
 コーエー
NPCに武装捕鯨船が登場。16世紀にビスケー湾で行われていた帆船式捕鯨をモチーフにした模様。特にヨイショなわけじゃないけど、なぜか砲門がついてる。
<映画・ドラマ・演劇>
戦争と市民
 作・演出:坂手洋二
 燐光群
主人公は鯨料理屋の女将。劇を観た方からは、3時間説教聞かされて辟易したという感想も・・。
劇中で戦争体験と重ね合わされるのが、「北朝鮮のミサイル実験」「反捕鯨運動」「原発建設計画」。その政治性、独善性が相似的なのは間違いなく調査捕鯨推進政策の方なのだが。作者が捕鯨政策の内実を何も知らず、調べもしないままに脚本を書いたのは明らか。あるいは、南極海捕鯨に明示される超拡張主義と同様、日本の戦前の軍国主義は正しかったとするのが作者の主張なのだろうか? 過去の過ちに対する反省もなく、戦争の記憶を被害者としての米国への恨みのみに集中させて、戦争の悲劇をなくすことができると考えているのだろうか?
インドネシア・ラマレラのマッコウ猟と国際NGOの活動を取り上げた毎日の記事が元ネタらしいが、伝統としての重みは日本の商業捕鯨と格が違う。日本の票買い水産ODAこそ他国の文化と生活を破壊しているのが現実だ。戦前と同じ侵略者・略奪者・加害者としての日本の姿を直視する姿勢は、演出家坂手氏にはうかがえない。
私が愛した鯨
 NHK
津川雅彦主演、ジェームズ三木脚本。放映は日本が調査捕鯨を開始した1989年。それもよりによって正月の1月3日のゴールデンタイムに流した長編ドラマ。中身はひたすら情緒的な捕鯨船乗りの男のロマン回顧。当時は最先端でコストもベラボーだったCGのクジラも登場。受信料返せ!
ビハインド・ザ・コーヴ
 八木フィルム
捕鯨協会の世論操作戦略を指導した陰謀論の立役者・梅崎義人氏と癒着の象徴にして水産界の大ボス・米澤邦男氏はじめ、捕鯨サークル関係者総出演。水産庁と水産ジャーナリストの会にプレス対策のバックアップまで受けた究極のプロパガンダ映画。監督の八木恵子氏はICJ判決後に突然のめり込んだうえ、新宿の鯨肉居酒屋で梅崎氏と意気投合したことが製作のきっかけだったことまで判明している。出品したモントリオール国際映画祭では質の低さも指摘された。国内ではマスコミに護送される形で、極右の妨害で映画館での上映が中止されたザ・コーヴとは対照的に、順調(?)に全国で上映されている。鯨ジャーキーなどで客を釣っているのも、他のドキュメンタリー邦画に見られない特徴。
もっとも、八木氏がデマを簡単に鵜呑みにするタイプで、動物・環境・漁業・外交・人権・平和問題にあまりに無知すぎるため、内容も明後日方向のトンデモ陰謀論に帰着しており、必ずしも捕鯨の味方にさえなっていないようだ。ただ、米豪等の政府関係者は観ておいた方がいい。
(詳細)
http://togetter.com/li/941637
http://kkneko.sblo.jp/article/174248692.html
<音楽>
<<<解説>>>

 日本捕鯨協会はPRコンサルタントの国際ピーアール/梅崎義人氏の指南のもと、作家やジャーナリストなど名だたる著名人を集めてレクチャーを施し、〝鯨食文化教〟を広める宣教師に仕立てました。彼ら自身の熱心な布教活動により、文壇、ギョーカイに続々とシンパが生まれ、ネズミ講的に増殖していったわけです。
 皆さんからたくさんの情報をお寄せいただいたこともあり、このDB上では両派がどっこいどっこいでせめぎ合っているかに見えますが、クジラ・イルカに好意的ではあっても、捕鯨を明確に批判する作品は非常に少ないのが実情です。また、一般の文芸作品の中には捕鯨賛成の主張が混ぜ込まれたものがまだまだ多数埋もれていると思われます・・。
 重要なのは、過半数に上る日本の捕鯨擁護世論の醸成に、こうした文化作品がきわめて大きな役割を果たしてきたということです。日本人の多くは、海を泳ぐ野生のクジラに接したわけでもなく、密漁や密輸・規制違反の事実、鯨肉の消費の実態、鯨類学の異常な偏向、第三者が伝える商業捕鯨の正しい歴史など一切知ることなく、テレビや著名人の意見に流され、漠然と捕鯨に賛同しているにすぎません。それも、ただの二次情報というばかりでなく、作者が恣意的に改変し、虚実織り交ぜたフィクションから影響を受けているのが実情です。これは、国際社会にとっても、南極の自然にとっても、そして何より日本人自身にとっても、不幸なことといわなくてはなりません。
 このDBでは、作者が明確に捕鯨に対する支持・反対の意志表示をしていなくても、作品から受ける印象で分類しているものもあります。中には、「読者の心を捕鯨礼賛一色に塗り替えてやる!」とバリバリに意気込んでいる〝確信犯〟もいれば、鯨食害論などを知人やメディアに吹き込まれ、〝ちょっと乗せられてしまっただけ〟の方もいると思われるので、そういう方を一緒くたに批判するのも少々気の毒ですが……。むしろ、業界のPRがどれほど広く、深く浸透しているか知っていただくことが、当DBの主旨と理解していただければ幸いです。
 また、筆者は一応クリエーターの端くれとして、表現の自由については(どれほどクッダラナイ内容であろうと!)最大限に尊重されるべきだと考えます。ただし、世論・こどもたちに影響を与え得る立場にあるプロの表現者として、社会問題に一石を投じる作品を発表する以上、批判を甘んじて受ける覚悟もすべきだと考える次第です。
 当然のことながら、捕鯨問題の見地のみからの査定と、コンテンツそのものの文化的評価とは、一致するものではありません。捕鯨に関する言及以外の点では、筆者の目から見ても(癪ながら)良質と思える作品もあります。もっとも、これはあくまで筆者個人の主観ですが、文化を食べ物に例えるなら、捕鯨ヨイショ派作品は口当たりはいいけど後に何も残らないジャンクフード、クジラヨイショ派作品はとっつきにくいとこもあるけど人生の糧になる栄養価の高いものが多い気はしますが・・。


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