── 日本発の捕鯨問題情報サイト ──
日本人の手になる文化作品のうち、小説(フィクション分野)、絵本・童話、漫画、アニメ・特撮、ゲーム、映画・ドラマ、音楽等の中で、捕鯨問題もしくはクジラに関連する記述が含まれているものを収集してみたんだニャ~。(解説へ)
筆者のほうで随時構築しているところですが、「こんな作品がある」「こういう記述を見つけた」という情報があれば、ぜひこちらまでお知らせください。作品に対する感想・評価のコメントも受け付けております。皆様からのご報告をお待ちしてますニャ~m(_ _)m
情報&コメント提供(多謝m(_ _)m)
猫玉さん、Beachmolluscさん、オルカさん、守山さん、のりぴーにょさん、モンタナさん、さかまたさん、みーさん、副長さん、くろまにさん、Aderchismさん、まんまさん、花逗牡さん、釣本さん、匿名希望さん、ちびたさん
フィクション小説 | 絵本・童話 | コミック | アニメ・特撮 | ゲーム | 映画・ドラマ・演劇 | 音楽 |
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※ との数はそれぞれ捕鯨ヨイショ度、クジラヨイショ度指数です(3段階)。
勇魚 C・W・ニコル 文芸春秋 |
著名な外国人ナチュラリストの手で書かれた本作が日本の世論・マスコミに与えた影響は絶大だったが、太地の密漁や調査捕鯨の実態を目にしたニコル氏の日本の捕鯨に対するスタンスは、その後大きく転換している。 |
世紀末鯨睨記 久間十義 河出書房 |
白鯨のパロディというには格調の欠片も感じられない通俗的なナンセンス小説。武装した環境保護団体モドキが出てくるが、たいした取材をしたと思えない捕鯨業界側と比べても完全に空想の産物。 |
波に座る男たち 梶尾真治 講談社 |
(鯨肉?)に惚れたヤクザと環境保護団体、台湾マフィアの三つ巴の争い。任侠の世界なんだニャ~。真面目なのかギャグなのか、ちょっち迷うフィクション。 捕鯨ヨイショものでは〝敵〟はヘンなガイジンが相場だが、この作品では仇敵も病弱な娘を抱えた熱い男だったりする。台湾といえば、IWCの規制を逃れたアウトローの捕鯨で獲ったクジラの肉を日本に密輸していたことで有名。捕鯨反対の人でもなかなかおもしろそう。 (評:守山さん&ネコ) |
鯨の哭く海 内田康夫 祥伝社 |
TVドラマにもなっているシリーズ探偵もの。物語の舞台は太地、ノルウェーからの鯨肉輸入問題を取り上げるなど、捕鯨ヨイショ一点張りではない社会派作品ではあるようだ。 |
鯨神 宇能鴻一郎 中央公論新社 |
官能小説家として知られる宇能初期の、若い銛打ちと巨鯨との死闘を描いた芥川賞受賞作だが、単なる「白鯨」の焼き直しにすぎないとも。実際、設定からラストシーンまで引っ張ってきたことは疑いない。長崎平戸が舞台だが、地名は和田浦に。官能小説家だけに〝共倒れの死〟にエクスタシーを感じるという評もあるが・・。 |
巨鯨岬 小川竜生 祥伝社 |
太地生まれの銛打ちが、モラトリアムによって天職を奪われ、酒に溺れ、妻に暴力をふるって出ていかれ、残った息子はケンカに明け暮れる不良に育ち・・そんな父と子の葛藤の物語。 本筋はさておき、とんでもないことが書かれている。モラトリアムまで仕事をしてたのに、最後の漁で追っかけたのはなんとシロナガス──。密漁船に乗ってたのかニャ~。 捕鯨小説を書きたきゃ好きに書いていいけれど、せめて最低限の基本は勉強しといてほしい・・。 |
鯨分限 伊東潤 光文社 |
主人公の太地覚吾は実在した太地和田組の棟梁だが、作中のキャラは非実在の熱血漢キャラ。太地町史では覚吾は気質にかなり問題のある人物として記述されている。太地には宗家と分家の確執や格差の問題が厳然として横たわっていたのが史実。 蝦夷地進出の企てに見られるように、太地の捕鯨は伝統とは裏腹の侵襲的ビジネスであり、アイヌにとっては西洋と何も変わらない。作中では資源枯渇を西洋の責任になすりつけているが、太地では背美流れの頃まで九州北部ほど不漁ではなかったとの指摘もある一方、ザトウとセミについては太地自身の乱獲があったことははっきりしている。 そういう意味ではまさに西部劇じみたフィクションであり、ノンフィクションと勘違いして歴史修正主義に陥らないよう気をつけたい。 (詳細)http://kkneko.sblo.jp/article/175388681.html |
歌うクジラ 村上龍 講談社 |
タイトルにクジラが入っているが、実際にはまったく関係ない。グレゴリオ聖歌を歌うザトウクジラが不老不死遺伝子を持っていたというネタがガセであるのは、動物実験抜きでは得られない知見が出てくるだけでモロバレ。そもそも赤道上の静止衛星が対象となる軌道エレベータを瀬戸内海に建てる時点で、SFにしては設定が稚拙すぎる。 冒頭の「クジラ嫌い」の歌はまだしも、問題は序盤のディストピア描写の中に含まれるフォアグラ禁止等の反反捕鯨的揶揄。内乱鎮圧のために日本が戦術核を使うといったくだりは、まだ現実の非核政策の不実さに対する風刺が効いているが、こちらはあまりにも雑すぎ、作者に動物問題を真剣に考える気がないことをうかがわせる。仮にザトウが不老不死になったところでニンゲンの聖歌を覚える合理的理由は何もなく、誤った動物擬人化に走ったのは作者自身だといえるのだが・・ |
遠い海から来たCOO 景山民夫 角川書店 |
イルカのブルーの自己犠牲シーンには涙した読者も多かったろう。ただ、実名で登場するGPは本物とは似ても似つかない。ご存知のとおり、GPは核や気候問題に取り組むコンサベーション系NGOで、いわゆる動物愛護団体ではない。バヌアツ支部なんてないし、仏特殊部隊とわたり合うチャーリーズ・エンジェルじみた戦闘のプロもいない。 映画化の特集を組んだアニメージュが、作者の愛鯨観とは正反対の捕鯨ヨイショで宣伝の足を引っ張ったのにはビックリ。 |
ビヂテリアン大祭 宮沢賢治 岩波書店 |
農業技術者・エコロジストとして知られる賢治だが、生態学についての認識は仏教系のフィーリングによる部分もあった。菜食主義をコミカルに説いたこの作品、実は初稿では、猛禽類やクジラなど生態系の上位の捕食者は食べてもいい・・と書いたのだが、後で「やっぱり間違ってた(--;」と思い直して削除したんだニャ~。 |
洪水はわが魂に及び 大江健三郎 新潮社 |
「人間は妊娠している鯨でも仔鯨でも、獲れるだけいくらでも血みどろにして殺すからね。そして鶏より安い値段で肉を売るんだからね──」 〝鯨と樹木の代理人〟を自称し、知的障害のある息子ジンと共に核シェルターに閉じこもる主人公大木勇魚。真の代理人はむしろ無垢なるものの象徴的存在であるジンのほうで、勇魚自身は破滅に至る人生と、彼の対峙する権力の滑稽さを通じて、ニンゲンの愚かしさを鯨たちに伝えるメッセージそのものである。 ノーベル賞作家大江氏には、この他エッセイ集「鯨の死滅する日」もある。 |
モビィ・ドール 熊谷達也 集英社 |
ヒロインは環境保護団体の研究者兼ドルフィン・スウィムのインストラクター。イルカたちを襲うシャチに隠された謎に気付いたヒロインは・・。島で繰り広げられるニンゲンとイルカたちの物語。 (評:オルカさん&ネコ) |
リトルオルカ 水口博也 ワニブックス |
水口氏といえば海洋写真家としてあまりにも有名だが、クジラ関係の著作も多い。その彼が書いた小説となれば、シャチフリークは手に取らずにはいられまい。カナダの海で育ったシャチの子供スノーが、仲間と触れ合いながら成長していく様を描く生態学的ジュヴナイル。 (評:オルカさん&ネコ) |
巨鯨の海 戸川幸夫 講談社 |
日本の動物文学界の巨匠が描いたクジラ作品。巨鯨の王の子・三ツ星と、かつて母を奪った砲手・政吉との、対決と奇妙な友情。 残念ながら、動物文学のモチーフの定番であるハンターと獲物との交感ストーリーは、こと近代捕鯨の砲手に関してはありえない。とくに、いま調査捕鯨を担っている共同船舶の連中には。 |
青のフェルマータ 村山由佳 集英社 |
恋愛小説作家村山氏のイルカ小説。といっても、癒しを求めるスピリチュアル系とは一味異なる。 「人々がただ〝癒される〟ことを願う中で、私は〝癒す〟側のことを書きたいと思った」(著者後書き) 御蔵島からフロリダの研究施設まで、著者はイルカと出会うために世界各地を渡り歩いたそうだ。 |
銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ 大原まり子 ハヤカワ |
海外SFでクジラをモチーフにした作品は数知れないが、政治的動物にされてしまった所為か国産モノは少ない。そんな中で日本SF界の第一人者が書いた作品。もちろん、ここでのクジラは異星生物なのだが、カバーイラストはまんまザトウクジラ。 |
鯨の王 藤崎慎吾 文芸春秋 |
深海に潜む謎の巨大生物をめぐって繰りひろげられるミステリアスなSF海洋冒険アドベンチャー。 登場する新種ダイマッコウの設定は、海洋SFを得意とする作家らしく趣向が凝らされている。 放射性廃棄物や音響公害など、海の環境問題を訴える視点も秀逸。 ただ、主役須藤のモデルが御用学者加藤氏のため、イメージが(--;; |
くじらだ! 五味太郎 岩崎書店 |
幼児向けの絵本ながら、内容は反捕鯨をおちょくるだけの代物。ウンコネタなら喜ぶ子供も、こんなの読んで面白いわけがない。 |
海の歌がきこえてくる 灰谷健次郎 金の星社 |
小学校中学年向けの漁業問題の教材的内容。児童向けといっても十把一からげに漁業者を善玉扱いせず、負の側面についてもきちんと伝えるべきだろう。 |
鯨から世界が見える 作:ウーマンズフォーラム魚 絵:中村信 遊玄舎 |
捕鯨業界ヨイショNGOの制作。試食とセットで学校に直接売り込んでいる。制作費はどっから出たんだろうね?? (詳細) やる夫で学ぶ近代捕鯨史番外編・4 |
絵舟 狩野探幽の暗号 川村たかし ポプラ社 |
太地を訪れた絵師は秘かに隠れキリシタン探しの密命を帯びていた。大人も読める人間ドラマ。新漁法開発で潤い、勢いを示そうと絵舟の依頼をした網元。一方で、鯨に頼る以外道のない貧しい村の民の苦悩や哀しみも描かれている。 とくに捕鯨擁護というわけではないが、著者はこれ以外にも「最後のクジラ舟」「クジラたちの海」「あみかけクジラ」「もりくいクジラ」といった捕鯨・クジラをモチーフにした絵本を多く著している。 |
まぼろしの巨鯨シマ 作:瀬川康男 絵:北村けんじ 理論社 |
「命がけの捕鯨をとおし、固い友情で結ばれた海の男たちと巨鯨との、血みどろの闘いを軸に、愛と献身を描く長編小説」・・だそうだ。古式時代の話だが、ちょっとクサイ台詞のオンパレードだニャ~。 |
鯨にあえる日まで わしおとしこ 草土文化 |
モラトリアム前の発行だが、捕鯨問題に真正面から向き合った秀作。著者のわしお氏は日本動物愛護協会の評議員で、動物問題に造詣が深く、動物や動物園をテーマにした作品をいくつも手がけている。 |
海の時間のまま 作:奥田継夫 絵:国井節 ポプラ社 |
主人公はなんとフグ。あくまでフグの立場を貫いてるとこがスゴイ。マッコウクジラのおじいさんのニンゲン批判は痛烈。これこそ本物のクリエーターの感性だニャ~。 |
ともだちは海のにおい 作:工藤直子 絵:長新太 理論社 |
哲学とビールをこよなく愛するクジラと、日課の体操を欠かさないおしゃれなイルカの友情。読んだ人をたちまちぞっこんにさせてしまう魔力を秘めた絵本。ライオンが主人公の姉妹作「緑のにおい」も○。 |
おれはシャチだ 作:香川茂 絵:大古尅己 金の星社 |
主人公のシャチ・イーターがライバルのマッコウクジラとともに南極の海まで旅をし、戻ってくるまでの成長の過程を描いた物語。これを読んでシャチ/クジラ好きになった人は多いらしい。 (評:オルカさん&ネコ) |
くじらぐも 中川李枝子 光村図書出版 |
小学校の国語の教科書に登場。作者は子供時代にだれもが読んだ名作「ぐりとぐら」や「いやいやえん」で有名な児童文学作家。 |
ふうせんクジラ わたなべゆういち 佼成出版社 |
風船を飲み込んで街まで飛ばされてしまった仔クジラのボン。「いちばでうるのはかわいそう」と、街の人たちが母さんクジラの待つ海に帰してくれました。 クジラやウミガメに危害を加えるので、イベントで風船を飛ばすのはやめよう。 |
クジラの跳躍 たむらしげる リブロポート |
荒唐無稽な脳内ワールドの赴きだが、固定ファンが多い模様。アニメ映画化もされ、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞。 |
キャプテンタロ 鯨の海へ 作:森下研 絵:山下勇三 偕成社 |
シリーズの海洋冒険もの。まいごになったマッコウクジラのあかんぼうを仲間とともにたすけにいきます。 |
小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話 作:野坂昭如 絵:山下勇三 日本放送出版協会 |
日本海軍の潜水艦を仲間と勘違いして恋をしてしまったクジラは、〝彼女〟を守るために・・。 アニメ化もされた。小さいこどもたちにも戦争の理不尽さが十分に伝わる秀作。8/15に毎年でも放映してほしい作品。 |
くじらのなみだ 作:今井鴻象 絵:富永秀夫 岩崎書店 |
どんな生きものにも母と子の愛情があります。こどものくじらは、重い病気のかあさんくじらを漁師たちからまもろうとしたのですが・・。(前書き) 表紙がすでに痛ましくて泣けてくる。 |
太陽と星の下 (小川未明童話集3) 小川未明 講談社 |
捕鯨や鯨を直接のテーマにしているわけではありませんが、登場人物のS少年が捕鯨について考える記述にかなりスペースを割いています。 「これは鯨の肉だな。そうだ、南極からきた冷凍肉だ。人間とおなじく赤ちゃんをかわいがる哺乳動物の肉なんだ」こう思った瞬間、(中略)そこには残忍な血なまぐさい光景が、ありありと浮かびました(132頁) どんなかくれ場でも、人間はさぐる。精巧な機械を持っているし、またおそろしい武器を持っている。そう考えると、少年には、人間がひきょうに見えました。そして、自分の力よりほかに、たのむことができない鯨がかわいそうになりました。(133頁) この作品は昭和25年に発表されています。また未明は明治15年生まれです。明治前半生まれの日本人が、欧米諸国でも反捕鯨の動きが微塵もみられない時代に、このような文を書いていたのは驚きです。ひょっとしたら未明の文章に書かれているような考えこそが、日本人本来の感じ方だったのかもしれません。 (評:花逗牡さん) |
WILDLIFE 藤崎聖人 小学館 |
非科学的な〝鯨食害論〟やお手盛り世論調査の結果など、典型的な捕鯨擁護の主張が盛りだくさん。コミックスの補注でその手の陰謀論をハートマークまで付けて紹介しているあたり、作者の人格がうかがえる。いつもは情緒的な行動原理で動く主人公たちが、クジラに対してのみ殺しを正当化する差別的な視点を得々と披露する辺りも、〝中の人〟丸見えで違和感バリバリ。 大体、捕鯨擁護獣医団体にIUCN始め世界の野生動物保護の現場で働いているNGOからお呼びの声がかかるわけないわな。主人公が絶対音感以外取り得のないただのヤンキー兄ちゃんからいきなり〝超〟の付く動物フリークになったり、獣医の資格と実技スキル取得の難度が低かったり、各話のエピソードも全体的に無理のある強引な展開が特徴なのだが・・。 動物好きの子供たちをターゲットに据えた作品で、TVドラマ化もされただけに、成年向けグルメマンガなどよりむしろ悪影響は大。 |
美味しんぼ 作:雁屋哲 画:花咲アキラ 小学館 |
「シロナガスを食いたい」というのが本音らしい。反捕鯨=人種差別主義というすり替えは、巧みというよりあまりに露骨/卑屈で、まともな読者なら返って胸焼けを起こしたろう。 原作者の雁屋氏はニタリクジラの種名すら知らなかったほど環境・動物音痴のうえ、暮らしやすさや子供の教育を理由に日本からオーストラリアに移住したという話。放射能鼻血描写でも物議を醸したが、暴論の程度は鯨食擁護の方が甚だしい。 |
ONE PIECE 尾田栄一郎 集英社 |
ルフィが「くーじーら! まーぐーろ!」と叫ぶシーンがある。ラブーンというマッコウの善玉キャラもいるんだが・・。トナカイ(非常食?)もいるし・・。 |
さよなら絶望先生 久米田康治 講談社 |
たった4頭のクジラを見て「過保護で増えすぎた」・・って、そんなこと言ったら、絶滅危惧種含め野生動物オール増えすぎになっちゃうよ・・。 |
三丁目の夕日 西岸良平 小学館 |
鯨肉も、昭和の思い出として胸にしまって懐かしむだけにしてほしいもの。 |
将太の寿司~全国大会編~ 寺沢大介 講談社 |
少年マガジン連載のグルメ漫画の続編。 全国大会二回戦では和歌山が舞台に成りますが、その時に和歌山の特産品の鯨を扱った寿司が登場します。 「鯨を殺すのは可哀想だという主人公の仲間に対し父の跡を継いだ鯨漁師が涙ながらに反論する」という形で捕鯨問題にも触れています。 太地の女性砲手なるキャラが登場するが、当然フィクション。美味しんぼの二番煎じの謗りは否めず。主人公は漁協の冷蔵倉庫に一週間放置されていた黒い鯨肉を使うが、全国の冷蔵庫には過剰な鯨肉在庫が一時期山積みされた。 (評:釣本さん&ネコ) |
グ・ラ・メ!大宰相の料理人 作:西村ミツル 画:大崎充 新潮社 |
この漫画は捕鯨賛成派の立場からの漫画です。 シーシェパードをモデルにしたような環境保護団体を主人公の一人である料理人の少女が批判するのですが、やれミンク鯨が増えすぎてるから間引きだの、それ鯨が魚を食い尽くすだの無茶な内容でした。 「将太の寿司」も一緒だけど、グルメ漫画はみんな「美味しんぼ」の真似、ドジョウ狙いばっかりで芸がないニャ・・。 ちなみに、コミックバンチは人気のあった「ガウガウわー太」を途中で打ち切っている。 (評:匿名希望さん&ネコ) |
落第忍者乱太郎 尼子騒兵衛 朝日新聞社 |
古式捕鯨を描いた子供向け作品。舞台は室町~戦国ごろなので、古式捕鯨で生活に根付いた描写があって興味深かったです。 (その時代のものとして紹介されていたので、偏った意見等は見られません) (評:ちびたさん) |
予告犯 筒井哲也 集英社 |
SSCSモドキのシーガーディアンなる団体が登場するが、船名(スポンサー名)を思いっきりパクっている。東北大震災に見舞われた日本に対するワトソンの詩を槍玉に挙げたつもりらしいが、海外の白人ならコケにできても、「天罰」発言の石原元都知事に噛み付く度胸はないようだ。この作品はラストでリンチ殺人を美化するくだりがあり、反捕鯨揶揄以外の部分できわめて問題が大きい。 (詳細)http://kkneko.sblo.jp/article/76286901.html |
波打際のむろみさん 名島啓二 講談社 |
主人公は海棲哺乳類嫌い(勘違いの私怨が原因)で、ニンゲンとつるんで狩までやる。 作品を通じて作者の強いイルカ嫌悪が伝わってくる。ヒトの絵は昨今の少年漫画の中では並程度だが、イルカの絵が幼児の落書きを思わせるほどド下手。魚もド下手なため、作者の画力が低いというより、まともに観察・描写する気さえないほど、自然・生き物そのものが嫌いなのだろう。 |
ブラック・ジャック 手塚治虫 秋田書店 |
BJの中でも名作に数えられるシャチとの交流のエピソードがある。結末は悲しいのだが・・。アニメ「ジャングル大帝」で草食動物と肉食動物が〝和解〟したり、巨匠手塚のある意味ブッ飛ぶほどの理想主義は、乾いた現実を生きる今の子供たちにこそ与えられるべき栄養剤だと思うニャ~。 |
ペエスケ 園山俊二 朝日新聞社 |
「はじめ人間ギャートルズ」でも命に対する視線は温かかった。新聞連載漫画という難しい表現の場で、臆することなく「おかしいものはおかしい」と言い切ることのできた、本当に勇敢で偉大な方でした。 |
クジラの唄が聞こえる 作:ヒロオクダ 画:本庄敬 集英社 |
野生動物を主題にしたSF風味の劇画。クジラの他ダイオウイカやゾウも登場、動物のイラストは精緻。 |
ドルフィン・ブレイン 山田玲司 小学館 |
微妙だけど・・ニンゲンの相対化の視点は評価できる。巨大ウツボのウッちゃんはカワイイ。 |
T.Pぼん 藤子・F・不二雄 中央公論 |
セミクジラを保護するために仲間を裏切るタイムパトロール隊員の話がある。彼は20世紀の時点でセミクジラがまだ生きていることを聞き、安心してお縄についたのだった・・。 「ドラえもん」にもドードーたち絶滅動物を救う話などがあるけど、藤子大先生も動物たちの味方でした。 (評:猫玉さん&ネコ) |
ナチュン 都留泰作 講談社 |
人工知能開発のヒントを得ようとイルカの研究に挑む主人公と、それを阻むイルカと意思疎通する謎の少女。作者はなんと文化人類学者と二足ワラジ。 |
渺々 小川隆章 講談社 |
各話の主人公がなんとニンゲンではなく海洋動物という、フリークオススメ作品。そして第1話の主役は海の知恵者マッコウクジラ。ほかにはアカウミガメやシロワニなどが登場。 |
世紀末リーダー伝たけし! 島袋光年 集英社 |
コミックス6巻「昔話でGO!!」は一読の価値あり。少年漫画はワンパターンのバトルものよりこの手のハートウォーミングストーリーのほうがよいニャ~。 |
いつかイルカになる日まで 湊よりこ 講談社 |
内向的な少女が島でイルカと戯れる青年と出会い──。 子どものころから水族館のイルカショーが大好きでした。でも、せまい水槽にとじ込められてる姿を見るのは悲しかった。今も、海にダイバーが続々おしかけ、静かに暮らしてるイルカをおびやかしてるのは悲しい(~作者のひとこと) 作者の想いが伝わってくるお話です。 |
ガイア動物記 岡崎二郎 小学館 |
ビッグコミックオリジナル(2008/3号)に登場した読み切り作品。主人公は大深度潜水にチャレンジするマッコウクジラで、哲学の趣とSFの味わいを堪能できる作品に仕上がっている。唐突な掲載で「モッタイナイ」というファンの声多数。 ショートSF漫画家の岡崎氏には動物をモチーフにした作品も多く、他にも「宇宙人が地球の代表として選んだのは人間ではなくクジラだった」といった面白い話がある。 (評:Adarchismさん&ネコ) |
スタンダードブルー 宇河弘樹 少年画報社 |
ヤングキング連載作品。 大量座礁したイルカを救助する主人公達と、敵対する環境保護団体との衝突が描かれています。 (評:釣本さん) |
魁!!男塾 宮下あきら 集英社 |
合宿先の青鬼島で捕鯨の実習をする場面がある。その際の教官および鯨は、エイハブ船長とモビーディックが元ネタとなっている。子クジラを庇う親クジラの愛情に心打たれた主人公たちが、執拗にクジラを狙う教官をこらしめて、笑顔でクジラ親子を見送るラストになっています。 あのノリでクジラネタだとどう料理されるやらとヒヤヒヤものだったけど、男塾バンザイだニャ~♪ (評:まんまさん&ネコ) |
青の祓魔師 加藤和恵 集英社 |
9巻に登場する海神・海人津見彦は、マッコウをモチーフにした海の悪魔(善玉)。供物に野菜が入ってるのはご愛嬌だが、ちゃんと好物は烏賊とも解説。デザインも○。 |
まんがなるほど物語 TBS |
反捕鯨団体がギャングとして登場するびっくり仰天の内容。国際ピーアール監修番組か!? ちなみに、ニールセンの視聴率ではこの回は6.8%で、平均よりかなり低かった模様。 |
がんばれ!ロボコン 原作:石ノ森章太郎 テレビ朝日 |
終盤3年目「ザブリンリン!!シシム鯨に負けるな」の回で太地町立くじら博物館が登場。別に古式捕鯨の話だけで、鯨肉の宣伝をしたわけではなかったが。ちなみにロボコン95点。 |
妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン! 監督:ウシロシンジ 東宝 |
2016年の劇場版。デザインも目つきももろ悪者の妖怪ホゲホエール、畝のあるハクジラで「ホゲー」と鳴く。エコロ爺なる妖怪キャラが典型だが、TV版でも大人の屁理屈で「ケチ」「いきすぎ」と揚げ足を取り、自発的に環境にやさしい行動を取ることを子供が躊躇するよう仕向ける演出がみられ、教育上よろしくないアニメだ。 |
7つの海のティコ フジテレビ |
シャチのティコと心を通わせる主人公のナナミが父親とともに伝説のヒカリクジラを求めて世界の海をめぐる。世界名作劇場シリーズで唯一原作のないオリジナル作品。中盤でティコが死んでしまって悲しい・・。 |
海のトリトン 原作:手塚治虫 TBS |
イルカの言葉を話せる主人公の少年トリトンと宿敵ポセイドン族との攻防。富野氏や西崎氏などアニメ界の大御所が制作にタッチした1970年代のアニメ史に残る作品。 |
くじらのホセフィーナ 東京12チャンネル |
コップの中に住む不思議なクジラと少年の交流を描くファンタジー。原作はスペイン作家ホセ・マリア・サンチェス・シルバ。 |
ムーの白鯨 日本TV |
ムーとアトランティスの戦いを描くSF。全長200mの巨大な白鯨はニンゲンの脳を移植された元神の使いのサイボーグで、ビームとか発射する・・。とりあえず味方なので(汗) |
鯨 くじら 大藤信郎 |
日本のアート・アニメ界の先駆者が姉と2人で作り上げた自主制作作品。戦前の1927年発表の切り絵アニメで、一部にセル画を使った作品としては日本初。1952年にはリメイク版がカンヌ国際映画祭に出品され、ピカソに絶賛されるなど高い評価を受けた。 内容は、難破船で男たちに襲われかけた女性をクジラが助けるというもの(野郎どもは海の藻屑・・)。フェミニストなクジラだニャ。 |
くじらとり スタジオジブリ |
三鷹の森ジブリ美術館での上映用に巨匠宮崎が手がけた短編。タイトルだけ見るとギョッとなるが、保育園の園児たちに捕まったクジラは花輪を贈られ記念撮影したあと大海原に帰っていくという結末。原作が「いやいやえん」なので無茶なアレンジのしようもないが。 リアル鯨捕りも鯨肉横流しなぞせずに園児たちを見習ってほしいね。 |
とべ!クジラのピーク クジラ製作委員会 |
1991年にNHK衛星で放送されたアニメ映画。水族館に売り飛ばされ、母親と引き離された子クジラのピークを、地元の少年カイが救おうというお話。なかなか。 (評:まんまさん&ネコ) |
タイコンデロンガのいる海 アーバン・プロダクト |
水爆事故の発覚をきっかけに1991年に制作された中編アニメーション映画。マッコウが登場。子供たちに海の核汚染の恐ろしさを伝える素晴らしい内容なのだが、広く上映されなかったのが残念。DVDの他、岩崎書店から絵本も出ている。 |
ヤッターマン タツノコプロ/読売テレビ |
2008/11/24放映の1時間スペシャルにて、湘南海岸に座礁したザトウクジラを主人公たちが助けたそうな。 |
ふしぎの海のナディア NHK/東宝/ガイナックス |
ネモ船長の親友が巨大なシロナガスクジラ。 ちなみにナディアは純ベジ、エヴァを手がけた総監督庵野氏も一応ゆるベジ。 |
機動警察パトレイバー 日本テレビ/サンライズ |
アニメ版機動警察パトレイバー第15話に「歌を唄ったクジラ」というのがあります。東京湾にザトウクジラが迷い込んだ、という設定ですが、クジラにたいして熱しやすく冷めやすい社会や報道と、一貫して暖かな視線を注ぐ隊員山崎とが対比的に描かれています。最終的にクジラは自力で脱出。 (評:Adarchismさん) |
校長先生とクジラ GP |
日本を代表するアニメ監督・山村浩二氏の作品。2008年文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品。 https://www.youtube.com/watch?v=rcE78IGLWKE |
ドラえもん クジラとまぼろしのパイプ島 原作:藤子・F・不二雄 テレビ朝日 |
2018/9/7にドラえもん誕生日スペシャルとして1時間スペシャルで放映。元ネタは52Hzのクジラ。 |
ブレスオブファイア3 カプコン |
女性メインキャラの1人の口癖が「魚を食べると頭がよくなるのよ」だったり、性格悪い(気色も悪い)カンサイイルカなるイルカ型モンスターが登場したり。下掲作品と同様、脚本担当が反反捕鯨かぶれとみえる。しかも、釣りのミニゲーム一番の大物は〝勇魚〟。ていうか釣れるか! さらに、命を度々救ってもらった使役動物の屠殺をプレイヤーに問答無用で選択させるイベントもあり、ともかくゲスい。 |
サモンナイト3 バンプレスト |
鯨肉をそっくりそのままタコヤキに替えた食文化論を主人公がぶつ。婉曲的に子供に刷り込みらしい。 主人公はエリート軍人の設定なのに、離れ小島に漂着して原住民とサバイバル中帝国グルメの回想をしたり、B級グルメに感心したり。オイル食いの自動機械と飯食わない幽霊が住民の半数占めて、他にも花の妖精やらウサギ獣人も登場するのに、伝統料理と銘打って鍋を囲むシーンがあったり。ニャン魚とかワン魚とか妖精とか召喚〝獣〟も文化だとか言って平気で食いそう。ウサ耳少女はニンジンとレタスだけ食ってりゃいいよ。どうも脚本家に庶民とかけ離れた異常な食への執着がありそうだ・・。 |
ドラゴンシャドウスペル フライトプラン |
ピースグリーンなるモンスター愛護団体戦闘員が登場。「この作品は実在の団体とは関係ありません」といえば済むと思っているのか? |
ダライアス タイトー |
アーケードの横スクロールST。お魚シューティングのステージボスの1体がクジラだそうな。 |
大航海時代Online コーエー |
NPCに武装捕鯨船が登場。16世紀にビスケー湾で行われていた帆船式捕鯨をモチーフにした模様。特にヨイショなわけじゃないけど、なぜか砲門がついてる。 |
アクアノートの休日 アートディンク |
リラクゼーションソフトのさきがけ的存在。 |
フォーエバーブルー 任天堂 |
南太平洋の架空の島を舞台にしたバーチャルダイビング。映像は美しく、イルカやクジラに捕まって泳ぐことも。野生のクジラたちとの接触にためらいがあるヒトも、これなら楽しめる。 (評:オルカさん&ネコ) |
レイマン海賊船からの脱出 ユービーアイソフト |
ドリキャスのアクションアドベンチャー。海賊たちに船の燃料用(!?)に捕獲されてしまったクジラを逃がすステージがあります。 (評:まんまさん&ネコ) |
絢爛舞踏祭 SCE |
PS2のシミュレーションゲーム。ポイポイダーなるバンドウイルカ知類が登場。元は水族館でショーをやっていたという設定。義理堅い一方でつまらない冗談をとばすという性格設定はヘンだが、ずば抜けた空間把握能力を活かして航海長を務めるあたりはイルカの特徴にマッチしている。TV東京でアニメ化もされている。 |
美麗アクアリウムDS ERTAIN |
クジラ・イルカ・ペンギン編で、イルカやシャチ、マンタなど家庭で飼育不能なデカい海洋生物たちを収録。マッコウまで。狭い水槽に閉じ込めるのはやめて、野生の海までこっちから出向くか、ゲームの中だけで楽しもう。 |
アイラブドルフィン STARFISH-SD |
DS。タッチペンでイルカとのコミュニケーションを図る。まあ、ヒトでもイヌネコでもイルカでも、現実のコミュニケーションとゲームは違うけどね。 |
ロングバケーション イルカとわたし STARFISH-SD |
DS。上のは〝飼育員ごっこ〟だけど、こちらは野生のイルカとの触れ合いタイプ。 |
戦争と市民 作・演出:坂手洋二 燐光群 |
主人公は鯨料理屋の女将。劇を観た方からは、3時間説教聞かされて辟易したという感想も・・。 劇中で戦争体験と重ね合わされるのが、「北朝鮮のミサイル実験」「反捕鯨運動」「原発建設計画」。その政治性、独善性が相似的なのは間違いなく調査捕鯨推進政策の方なのだが。作者が捕鯨政策の内実を何も知らず、調べもしないままに脚本を書いたのは明らか。あるいは、南極海捕鯨に明示される超拡張主義と同様、日本の戦前の軍国主義は正しかったとするのが作者の主張なのだろうか? 過去の過ちに対する反省もなく、戦争の記憶を被害者としての米国への恨みのみに集中させて、戦争の悲劇をなくすことができると考えているのだろうか? インドネシア・ラマレラのマッコウ猟と国際NGOの活動を取り上げた毎日の記事が元ネタらしいが、伝統としての重みは日本の商業捕鯨と格が違う。日本の票買い水産ODAこそ他国の文化と生活を破壊しているのが現実だ。戦前と同じ侵略者・略奪者・加害者としての日本の姿を直視する姿勢は、演出家坂手氏にはうかがえない。 |
私が愛した鯨 NHK |
津川雅彦主演、ジェームズ三木脚本。放映は日本が調査捕鯨を開始した1989年。それもよりによって正月の1月3日のゴールデンタイムに流した長編ドラマ。中身はひたすら情緒的な捕鯨船乗りの男のロマン回顧。当時は最先端でコストもベラボーだったCGのクジラも登場。受信料返せ! |
ビハインド・ザ・コーヴ 監督:八木景子 八木フィルム |
捕鯨協会の世論操作戦略を指導した陰謀論の立役者・梅崎義人氏と癒着の象徴にして水産界の大ボス・米澤邦男氏はじめ、捕鯨サークル関係者総出演。水産庁と水産ジャーナリストの会にプレス対策のバックアップまで受けた究極のプロパガンダ映画。監督の八木景子氏はICJ判決後に突然のめり込んだうえ、新宿の鯨肉居酒屋で梅崎氏と意気投合したことが製作のきっかけだったことまで判明している。出品したモントリオール国際映画祭では質の低さも指摘された。国内ではマスコミに護送される形で、極右の妨害で映画館での上映が中止されたザ・コーヴとは対照的に、順調(?)に全国で上映されている。鯨ジャーキーなどで客を釣っているのも、他のドキュメンタリー邦画に見られない特徴。 もっとも、八木氏がデマを簡単に鵜呑みにするタイプで、動物・環境・漁業・外交・人権・平和問題にあまりに無知すぎるため、内容も明後日方向のトンデモ陰謀論に帰着しており、必ずしも捕鯨の味方にさえなっていないようだ。ただ、米豪等の政府関係者は観ておいた方がいい。 (詳細) 「ビハインド・ザ・コーヴ(Behind the Cove)」の嘘を暴く~いろんな意味で「ザ・コーヴ」を超えた〝トンデモ竜田揚げプロパガンダ映画〟 「ベトナム戦争」と「核問題」に直結する〝本物の陰謀〟を暴き、かけがえのない日本の非核文化をサポートしてくれた「グリーンピースの研究者」と、竜田揚げブンカのために「広島長崎の虐殺」を掲げながら〝贋物の陰謀〟に引っかかったトンデモ映画監督 |
おクジラさま 監督:佐々木芽生 エレファントハウス |
クラウドファンディングで製作された作品。封切はポッと出の竜田揚げ『ビハインド・ザ・コーヴ』より出遅れた。太地町関係者の評判は竜田揚げと違ってよい模様。 国内の環境保護NGOのコメントもあり、キャストの選択は上掲竜田揚げプロパガンダよりマシだが、事実上の主役であるJ・アラバスター氏は中立とは言いがたい。太地町民全員がイルカ猟支持一色なわけではなく、多様な意見が取り上げられていないとの指摘も。 公海捕鯨の問題点の追及がまったくできていないのも残念。仮想敵を仕立てて〝物語〟を構築する捕鯨サークルのPR戦術に乗っかった感は否めない。「2つの正義」の切り口で描くなら沖縄や福島にぜひ挑戦してほしいもの。 (詳細) 書評 : 佐々木芽生著『おクジラさま:ふたつの正義の物語』集英社、2017年|東北大学石井敦氏 対抗ツイートだった・・・|ika-net日記 さっち~の感想「おクジラさま」&出演者の本音。太地町を舞台にした映画はもうイラナイ。この映画が未来に向けて本物の対話に繋がることを願う。 |
破れ奉行 テレビ朝日系列 |
1977年に放映。萬屋錦之介演じる深川奉行・速水右近が、奉行所の手出しできない悪党を成敗していく痛快娯楽時代劇。悪いやつをやっつけるとき、どういうわけか忍者っぽい頭巾とパンタロンっぽい袴を着て銛を片手に鯨船で出動。しかも雷のエフェクト付だ! もはや特撮ヒーローかロボットアニメのノリだね! うち2回は壁ぶち破って屋敷の中まで突っ込んだぞ! けど、特に主人公が鯨組とかと縁があるわけじゃなくて、ただ成敗乱入用の「足」として船頭から調達するだけだって。まあ、70年代だししょーがないねっ! (情報提供:猫玉さん) |
鯨と斗う男 東映 |
1957年公開。舞台は石巻で、大洋漁業(当時)も協力。主演高倉健なだけに、船上での乱闘騒ぎに酒場で待つ女という具合で、任侠モノを海の荒くれ者銛打ちに置き換えただけというイメージ。理不尽な船長が仕切るブラック労働故に「地獄丸」の異名を持つ捕鯨船が、化け物鯨に特攻して3番銛まで撃ちながら大破する下りは白鯨のノリだが、木造・手漕ぎボートの帆船捕鯨時代じゃない鋼鉄製のキャッチャーボートなんだから、いくらなんでもそりゃないよ・・ 重要なポイントは1つ。当時はまさにナガスクジラやイワシクジラを絶滅危惧種にまで激減させた乱獲真っ盛りの時期にあたる。捕鯨業者の頭の中には乱獲を戒める自制心も、野生生物保全の重要性に対する認識も、これっぽっちもありはしなかった。この能天気さが野生動物を追い詰めたのだと深く自覚し反省するための材料にする以外、21世紀に入った今この作品を上映する意味はない。ましてや、「あの頃はよかった」などと懐古に浸っていい話じゃない。 |
(タイトル不明) |
ポール・ウィンターの曲をBGMに使用。国内のウォッチングへの取り組みをテーマにした民放単発ドラマがあった(調査中) |
空飛ぶ鯨 歌:ちゃんちゃこ 詞/曲:みなみらんぼう |
いつか時の流れに押し流されて 海に沈んだ かわいそうな鯨 いまでは海でさえ鯨は暮らせなくて せっせと羽根をつくって 狭い波間を飛び出した あわれな鯨のむれは 次々打ちおとされて 魂だけがとんでった── 哀愁漂う名フォーク曲。レコード大賞も受賞。 |
最後のニュース 歌/詩/曲:井上陽水 |
環境問題に関心の高い海外のアーティストと交流のある世界的ミュージシャンならではの曲。ミュージックビデオでは捕鯨の映像が流れる。 |
鯨の詩 奏/曲:倉本裕基 |
小笠原のザトウのソングとピアノ、日本人の演奏者と日本の海に棲むクジラとの、ポール・ウィンターに負けないコラボレーション。 |
くじらになりたい 作詞:覚和歌子 作曲:横山潤子 |
サカナがヒトになるまでの 重たい時間をつれて すべての海をひとつにむすぶ ヒトが自分を見つけ出す その日が来るのを待って 耳をすませて旅を続ける 小学校の合唱曲によく使われています。 |
くじら~いつかきっと~ 歌/詞/曲:鳥山あかね (鈴与グループCM) |
歌とともに流れるザトウの映像がいい感じ。 社長さん、クジラ好きにゃのかにゃ・・ |
日本捕鯨協会はPRコンサルタントの国際ピーアール/梅崎義人氏の指南のもと、作家やジャーナリストなど名だたる著名人を集めてレクチャーを施し、〝鯨食文化教〟を広める宣教師に仕立てました。彼ら自身の熱心な布教活動により、文壇、ギョーカイに続々とシンパが生まれ、ネズミ講的に増殖していったわけです。
皆さんからたくさんの情報をお寄せいただいたこともあり、このDB上では両派がどっこいどっこいでせめぎ合っているかに見えますが、クジラ・イルカに好意的ではあっても、捕鯨を明確に批判する作品は非常に少ないのが実情です。また、一般の文芸作品の中には捕鯨賛成の主張が混ぜ込まれたものがまだまだ多数埋もれていると思われます・・。
重要なのは、過半数に上る日本の捕鯨擁護世論の醸成に、こうした文化作品がきわめて大きな役割を果たしてきたということです。日本人の多くは、海を泳ぐ野生のクジラに接したわけでもなく、密漁や密輸・規制違反の事実、鯨肉の消費の実態、鯨類学の異常な偏向、第三者が伝える商業捕鯨の正しい歴史など一切知ることなく、テレビや著名人の意見に流され、漠然と捕鯨に賛同しているにすぎません。それも、ただの二次情報というばかりでなく、作者が恣意的に改変し、虚実織り交ぜたフィクションから影響を受けているのが実情です。これは、国際社会にとっても、南極の自然にとっても、そして何より日本人自身にとっても、不幸なことといわなくてはなりません。
このDBでは、作者が明確に捕鯨に対する支持・反対の意志表示をしていなくても、作品から受ける印象で分類しているものもあります。中には、「読者の心を捕鯨礼賛一色に塗り替えてやる!」とバリバリに意気込んでいる〝確信犯〟もいれば、鯨食害論などを知人やメディアに吹き込まれ、〝ちょっと乗せられてしまっただけ〟の方もいると思われるので、そういう方を一緒くたに批判するのも少々気の毒ですが……。むしろ、業界のPRがどれほど広く、深く浸透しているか知っていただくことが、当DBの主旨と理解していただければ幸いです。
また、筆者は一応クリエーターの端くれとして、表現の自由については(どれほどクッダラナイ内容であろうと!)最大限に尊重されるべきだと考えます。ただし、世論・こどもたちに影響を与え得る立場にあるプロの表現者として、社会問題に一石を投じる作品を発表する以上、批判を甘んじて受ける覚悟もすべきだと考える次第です。
当然のことながら、捕鯨問題の見地のみからの査定と、コンテンツそのものの文化的評価とは、一致するものではありません。捕鯨に関する言及以外の点では、筆者の目から見ても(癪ながら)良質と思える作品もあります。もっとも、これはあくまで筆者個人の主観ですが、文化を食べ物に例えるなら、捕鯨ヨイショ派作品は口当たりはいいけど後に何も残らないジャンクフード、クジラヨイショ派作品はとっつきにくいとこもあるけど人生の糧になる栄養価の高いものが多い気はしますが・・。