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── 日本発の捕鯨問題情報サイト ──

(初出:2011/5/21 JANJAN NEWS)

捕鯨ODAは世界の民主主義の発展に寄与したのか?

 5月末からIWC(国際捕鯨委員会)年次会議の科学小委員会がノルウェー・トロンソで開催されている。イギリス・チャンネル諸島で開かれる本会議の日程は7月11日からなので少々気が早いが、日本による発展途上国へのIWC勧奨活動の実態を示す簡単な資料をまとめた。

 日本のODA供与に、捕鯨支持国とそれ以外との間で極端な格差が見られることは、先に指摘したとおりだが、今回は民主主義に関わる二つの指標と関連付けてみた。すると、またしても興味深い結果が浮かび上がった。

 以下は、2010年発表の「民主主義成熟度」「報道の自由度」ランキングに、IWCに加盟している捕鯨支持国及び捕鯨批判国を対応させた各国の順位表及び要約である。捕鯨支持/批判国のカテゴリーはWikipediaに準じた。

 平均の順位、指数とも、捕鯨支持国が捕鯨批判国に負けている。このうちとくに注目すべきは、被援助国(開発途上国)の民主主義成熟度である。捕鯨批判国に独裁政治体制の国は一カ国もないが、捕鯨支持国の中には、日本からの水産ODA最多受取国であるモロッコをはじめ、独裁政治体制の国が12カ国もある。報道の自由度の方は、民主主義に比べるとややマシな数字となっているが、日本の援助への期待感を表明したうえで2007年にIWCに加盟したエリトリアに至っては、北朝鮮をも下回る世界最下位の180位である。日本の水産/捕鯨援助がいかなる形で使われてきたか、どのような国々が勧奨活動のターゲットとされてきたか、推して知るべしである。

 ひとつはっきりしていることがある。日本政府が水産無償援助と引き換えにこれらの国々に対して要請したのは、民主主義体制への移行ではなくIWCに加入して自国に有利な票を投じてもらうことだった。日本国民の血税で賄われる水産ODAは、水産ゼネコン・コンサルに美味しい仕事を宛がい、現地の腐敗役人のリベートに回されることはあっても、民主化を求める人々にとってはまったく役立っていない。

 日本の捕鯨外交を俯瞰するにあたって、あるいは震災後の緊縮財政下のODA予算・調査捕鯨予算をめぐる議論の中で、一助にしていただければ幸いである。

 なお、2010年の報道の自由度ランキングでは、政権交代を受け日本の順位は飛躍的に上がったが、記者クラブ制度改革の後退や原発事故報道を理由に、今年再び転落することは必至とみられる。また、推進派メンバーオンリーによる調査捕鯨検討委員会など、日本政府が少数意見を完全に排除した不透明な政策決定を続けるなら、民主主義ランキングでも評価を落とすことは避けられない。

※補注:
・指数は、民主主義成熟度では高いほど進んでおり、報道の自由度では低いほど自由度が高い。数字の見方が逆なので注意。
・オセアニア、カリブ海諸国(民主主義成熟度)、欧州の小国など、ランキング対象外となっている一部のIWC加盟国は除外してある。
・報道の自由度順位について、《》で囲んだ米国とイスラエルは、治外法権とそれ以外の指数を足して2で割っている。
・報道の自由度順位について、捕鯨支持国のうち()で囲んだカリコム5カ国は、東カリブ諸国機構の指数を当てはめ同順とした。

参考リンク:
捕鯨推進は日本外交の最優先次項!?
-「民主主義指数」(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E6%8C%87%E6%95%B0
-「Template:世界報道自由度ランキング」(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/Template:%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A0%B1%E9%81%93%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%BA%A6%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0
-「国際捕鯨委員会」(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%8D%95%E9%AF%A8%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A


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