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── 日本発の捕鯨問題情報サイト ──

外務省Q&Aコーナー・カウンター版

(2019/9/27)
(訂正:2019/12/21)

捕鯨に関するQ&A

Q1.海洋生物資源の持続可能な利用について,日本はどのような立場をとっていますか?

Q2.海洋環境保全のための日本の取組について教えてください。

Q3.1946年の国際捕鯨取締条約の作成により,捕鯨は禁止されたのではないですか?

Q4.日本はなぜ国際捕鯨委員会(IWC)を脱退したのですか?

Q5.今後,日本は捕鯨に関する国際協力をどのように進めていくのですか?

Q6.捕鯨活動の内容について教えてください。

Q7.日本の捕獲枠はどのように算出されたのですか?

Q8.日本の捕鯨は鯨類の資源に悪影響を与えるのではないですか?

Q9.IWC科学委員会は,日本の捕獲枠に反対しているのでしょうか?

Q10.日本の捕鯨の歴史について教えてください。

Q11.日本国内で,捕鯨は支持されているのでしょうか?

Q12.日本以外に捕鯨を支持,または行っている国はありますか?

 * もっと詳しく知りたい人は──

※ 外務省回答の傍線・赤字は、筆者による訂正(外務省公開は9月20日)


Q1.海洋生物資源の持続可能な利用について,日本はどのような立場をとっていますか?

~ 外務省の回答 ~

  日本は,海洋生物資源は,科学的根拠に基づく管理の下で,持続可能な利用が図られるべきとの立場です。


Q2.海洋環境保全のための日本の取組について教えてください。

~ 外務省の回答 ~

  日本は海洋環境に関する問題に対処するため,総合的なアプローチに基づき取り組んでいます。

  例えば,鯨を含む海洋の生態系に否定的な影響を与える海洋プラスチックごみ問題に,日本は他国と協力して取り組んでいます。G20大阪サミットにおいては,2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を参加国指導者と共有しました。

  同ビジョンの実現に向け,日本は途上国の廃棄物管理に関する能力構築及びインフラ整備等を支援していくこととしており,既に,廃棄物管理の人材を,世界で2025年までに1万人育成することにコミットしています。詳細は下記のページをご覧ください。

(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ge/page23_002892.html)


Q3.1946年の国際捕鯨取締条約の作成により,捕鯨は禁止されたのではないですか?

~ 外務省の回答 ~

  いいえ。国際捕鯨取締条約は,捕鯨の適切な管理を確保するための国際約束です。この条約は,「鯨族の適当な保存を図る」のみならず,「(鯨類の保存により,)捕鯨産業の秩序ある発展を可能にする」ことを目的に明記しています。

  また,あらゆる鯨類について商業捕鯨の捕獲枠をゼロとするとの1982年のIWCの決定(いわゆる「商業捕鯨モラトリアム」)が,「捕鯨の禁止」であるという深刻な誤解が広まっています。

・商業捕鯨モラトリアムが,最良の科学的助言に基づいて検討されるものすること。

・遅くとも1990年までに,IWCが商業捕鯨モラトリアムの影響について包括的評価を行うこと。

・遅くとも1990年までに,商業捕鯨モラトリアムの修正及びゼロ以外の捕獲頭数の設定を検討すると。

  残念なことに,IWC の過半数の加盟国は,環境上の理由ではなく,政治的な理由により,今日までこの法的合意を無視し続けています。


Q4.日本はなぜ国際捕鯨委員会(IWC)を脱退したのですか?

~ 外務省の回答 ~

  日本は,IWCにおいて,適切な科学的根拠に基づく捕鯨の管理が期待し得ないことが明らかになったため,脱退を決断しました。この決断に至るまで,日本は,30年以上にわたり,国際捕鯨取締条約の本来の目的から乖離していたIWCを本来の役割に立ち戻らせるため,真摯な取組を続けてきました。今回の決断は,国際的な海洋資源の管理からの近視眼的な離脱ではありません。

  IWCには,国際捕鯨取締条約により,鯨類の保存と捕鯨産業の秩序ある発展という二つの役割が与えられています。そのため,いわゆる商業捕鯨モラトリアムが決定されて以降,持続可能な捕鯨の実現を目指し,日本は,収集した科学的データに基づき真摯な対話を行い,全加盟国が受け入れられる解決策を模索すべく用意された場に積極的に参加してきました。

  しかしながら,鯨類の保護のみを重視し,持続的利用の必要性を認めようとしない国々からの歩み寄りは見られませんでした。さらに,2018年9月のIWC総会でも異なる意見や立場が共存する可能性すらないことが明らかになりました。その結果,日本はIWCからの脱退を決断しました。詳細については,平成30年12月26日官房長官談話をご覧ください。

(https://www.kantei.go.jp/jp/tyokan/98_abe/20181226danwa.html)


Q5.今後,日本は捕鯨に関する国際協力をどのように進めていくのですか?

~ 外務省の回答 ~

  IWCを脱退しても,国際的な海洋生物資源の管理に協力していくという我が国の考えは変わりません。例えば,日本は,IWCと共同で,北太平洋における鯨類の目視調査(IWC-POWER)を実施しています。また,日本は,引き続き南極海及び北太平洋での捕獲を伴わない科学調査を実施し,得られた分析結果をIWC適切に共有していくこととしています。このような日本の貢献及び姿勢は,2019年5月のIWC科学委員会で歓迎されました。

  引き続き,IWCにオブザーバーとして参加するなど,国際機関と連携しながら,科学的知見に基づく鯨類の資源管理に貢献する所存です。


Q6.捕鯨活動の内容について教えてください。

~ 外務省の回答 ~

  日本が実施する商業捕鯨は,資源量が十分であると確認されている種のみを対象とし,持続可能な形で実施されます。日本の領海及び排他的経済水域に限定し,鯨類の資源に悪影響を与えないよう,IWCで採択された方式(RMP)に沿って算出された捕獲可能量以下で実施しています。詳細については,以下の水産庁の発表をご覧ください。

(http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/190701.html)


Q7.日本の捕獲枠はどのように算出されたのですか?

~ 外務省の回答 ~

  日本が設定した捕獲枠は,科学的根拠に基づく資源管理を徹底する観点から,RMPに沿って算出された捕獲可能量以下で設定されました。算出された捕獲可能量は,100年間捕獲を続けても資源に悪影響を与えない水準を維持するものです。また,捕獲対象種の推定資源量の1%以下であり,極めて保守的な数値となっています。詳しくは,以下の水産庁の発表をご覧ください。

(http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/190701.html)


Q8.日本の捕鯨は鯨類の資源に悪影響を与えるのではないですか?

~ 外務省の回答 ~

  いいえ。日本の捕獲枠はRMP に沿って算出された捕獲可能量の範囲内で設定されているため,100年単位で見ても捕獲対象種(ミンククジラ,ニタリクジラ,イワシクジラ)に悪影響を与えません。

  国際捕鯨委員会(IWC)では,日本が北太平洋において捕獲する種を含め,特定の鯨種については,持続可能な利用のために十分な資源量が存在することが確認されています。資源が脆弱であると考えられている鯨種を含め,これら3種以外の鯨類については,国内法令上,捕獲は認められておりません。


Q9.IWC科学委員会は,日本の捕獲枠に反対しているのでしょうか?

~ 外務省の回答 ~

  日本の捕獲可能量は,IWC科学委員会においても共有されている最新かつ最良の科学的根拠に基づいています。その計算にあたっては,我が国が捕獲の対象としている鯨種(ミンククジラ,ニタリクジラ,イワシクジラ)の資源状況(資源量推定・系群構造等)について,IWC科学委員会において積み重ねられてきた議論を十分に考慮しています。

  捕獲枠の算出にあたっては,IWC科学委員会にも出席している著名な外国人科学者のレビューを受けています。


Q10.日本の捕鯨の歴史について教えてください。

~ 外務省の回答 ~

  考古学者によって,9千年前より沿岸域で鯨類を利用してきていることが明らかにされており,2千年前には,西日本で散発的に大型鯨の組織的な捕鯨も行われていた模様です。

  現在の日本の捕鯨は,このような鯨類利用の歴史を現代に受け継いでいるものです。

(出典:http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/pdf/140513japanese.pdf)


Q11.日本国内で,捕鯨は支持されているのでしょうか?

~ 外務省の回答 ~

  2018年末以降,複数の世論調査において,回答者の約5割から6割以上が,日本がIWCを脱退し,持続可能な捕鯨を行うことを評価すると回答したことが示されています。なお,当省が2019年3月下旬に行った外交に関する国内世論調査においても,回答者の68%がIWCに協力しつつ,日本近海に限定して商業捕鯨を再開する方針を評価すると回答しています(評価しないとの回答は27%)。

(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007335.html)


Q12.日本以外に捕鯨を支持,または行っている国はありますか?

~ 外務省の回答 ~

  IWCでは,半数近くの加盟国が鯨類資源の持続可能な利用を支持しています。日本が唯一の捕鯨支持国であるということは,事実に反しています。

  世界各地のいくつかの国・地域でも,クジラの利活用や鯨食の文化・伝統があり,現在でもノルウェーやアイスランドにおいて捕鯨が行われています。各国が設定している鯨の捕獲枠については,以下のリンクをご覧ください。

(http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/190701.html)



もっと詳しく知りたい人は──
Q1

日本の水産資源管理はサステナブルか|IKAN (外部リンク)

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Q2

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海洋プラごみ問題—G20大阪サミットに足りなかった具体的策とは|サステナブル・ブランド ジャパン (外部リンク)

海洋プラスチック憲章|JEAN (外部リンク)

Q4

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国際捕鯨委員会第67回会合と日本提案|真田康弘の地球環境・海洋・漁業問題ブログ (外部リンク)

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Q7

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Q8

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Q9

Annex D Report of the Sub-Committee on Implementation Reviews and Simulation Trials|IWC (外部リンク)

国際漁業資源の動向 ミンククジラ オホーツク海・北西太平洋|水産研究・教育機構 (外部リンク)

Q10

壱岐・原の辻展示館 (外部リンク)

鯨供養碑と仔鯨殺しに見る日本人のクジラ観の多様性|Togetterまとめ (外部リンク)

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乱獲も密漁もなかった!? 捕鯨ニッポンのぶっとんだ歴史修正主義

太地の捕鯨は中国産!? 捕鯨史の真相

倭人にねじ伏せられたアイヌの豊かなクジラ文化

Q11

平成30年度世論調査(RDD方式による電話法)報告書 (外部リンク)

捕鯨問題に関する世論調査 政府広報 (外部リンク)

日本国民9割捕鯨支持の幻想

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