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「公の施設の見直し方針(案)」に関する意見

2016年6月14日

千葉県総務部行政改革推進課改革推進班 御中

施設番号:22

意見の内容:

 行徳野鳥観察舎は、東京湾に残された貴重な野生生物のサンクチュアリである県の鳥獣保護区・行徳湿地と不可分の施設です。調査研究/傷病野鳥の治療/市民の啓蒙・教育の拠点として、県民の宝である行徳湿地の価値を大幅に高めてくれる存在です。
 行徳湿地を県の保護区として存続させる以上、その意義を県民に伝える役割を担う行徳野鳥観察舎は欠かせません。また、県が従来掲げてきた同施設の「野鳥の生態に触れる機会を県民に提供する」という使命については、とりわけ若い世代にとってそうした機会が年々減少していく中で、高まりこそすれ、決してなくなるものではありません。その政策効果をもっと「広域的」に発揮することこそ、県に求められるのではないでしょうか。
 行徳野鳥観察舎の意義に関しては、県内の市民団体、日本自然保護協会やWWFジャパン、日本野鳥の会等日本を代表する自然保護団体、日本標識鳥類協会等の学術機関が、存続を求める要望書の中でも指摘しているとおりです。
 県民の一人として、次の二点を付け加えさせていただきます。

1)財政面に関して

・耐震補強のコスト
 東京新聞1月20日付の報道で、「耐震補強した場合は約1億4千万円、廃止の場合は解体費に約5千万円。建て直しの場合、規模縮小で建設費用は数千万円以上」との県の試算が紹介されています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201601/CK2016012002000190.html
 耐震補強・再建のいずれも、解体との差額は1億円未満でしかありません。 耐震補強に関しては、コストを建替えの60ないし70%に抑える再生建築という手法もあります(下掲のリンク)。こちらは公共施設での実績があり、TVでも紹介されております。
http://aokou.jp/concept/

・経済効果
 ご承知のとおり、同施設には県内外から年間1万人の利用客が訪れます。鉄道・バス等現地への交通機関を利用し、昼食を取ったり、野鳥の写真集を買ったり、駅でついでに買い物するなどして、平均千円は軽く消費するはずで、年間の経済効果は1千万円に達するでしょう。補修で1億円かかったとしても、地域への経済効果の点では、10年で元は取れる勘定になります。
 跡地利用は検討課題となっていますが、行徳湿地に隣接するこの施設跡地を、同規模の施設を建てることなく、行徳湿地と無関係な形で利用する道があるとは思えません。県・市への還元も見込めないでしょう。であれば、解体コストが無駄にかかるだけです。

・運営費
 行徳野鳥観察舎は、野鳥の調査・治療・啓蒙のプロフェッショナルである職員とボランティアの方々の拠点であり、施設を撤廃すれば活動にも大きな制約が生じ、関係者に負担を強いることになります。運営・維持費の県民への還元という点でも、効果的とはいえません。
 インフラについては県がもつとして、運営に関しては市と県が柔軟に負担を折半することは可能なはずです。市川市側も前向きの姿勢とうかがっています。行政改革の趣旨に照らしても、長期的には県の負担が減少するはずで、そのほうが適切なのではないでしょうか。

2)災害時の避難施設としての必要性

 県による東京湾のハザードマップで、行徳付近も2m以上の津波が想定されています。3階建の観察舎は補強さえすれば、年間1万人の利用者および近隣住民の避難所として活用できるはずで、むしろ緊急避難所として必須ではないでしょうか。

 以上、ぜひ同施設の存続を再考いただければ幸いです。

以上


署名・質問状・パブコメ等

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